しきたんの自由なブログ

思うことや感じることを、けっこう自由に書いてるブログ。

『明晰夢』(添削後)

僕の夢について、ですか。

そうですね、悪夢が多いのかもしれません。

幸せな夢の記憶は特にありません。

しかし、こんなことを聞いて、どうされるおつもりですか?

 

あなたも、そんなことをおっしゃるのですね。

 

確かに、僕は現実の記憶というものがほとんどない、まだ夢の記憶の方があるくらいです。どこまでが現実でどこからか夢か。おっしゃるように、それも僕にはわかりようがありませんが、それでいいのです。

 

そう、まくし立てないでいただけませんか。

 

ええ、そういうものを明晰夢というようですけれど、 僕には明晰夢は見られません。

 

そもそも、夢はよく見ますが内容はほとんど覚えていません。強いて言うなら、崖っぷちまで追い詰められることはあっても、転落死することはあり得ない。 それが、僕の夢のパターンといいますか、鉄則といっていいかもしれません。

夜、夢を見ている中で、どうにもこうにもならなくなった局面で、勝手に落ちてしまうようなのです。

 

目を閉じ、力を抜くと、狭い井戸のような筒の中を頭を下にして落ち、落ちきると、気持ちの良い場所に寝転がることになります。ふわふわとした重力のあまりない、一面白いお部屋のようで、赤いクッションが幾つか転がっています。ここに着地できれば、大丈夫。危機は霧散し、記憶からもほとんど消されてしまいます。

 

このからくりは、僕にも皆目わかりませんが、この絶体絶命回避システムとでも名づけましょうか、ともあれ、大変便利なものです。

 

ええ、そうですね。ほんの少し、曖昧なイメージは残っています。大きな人たちに囲まれていたな、とか、脱力し動けなくなっていたとか、あるいは刃物がちらついていたり、断片的に、そのようなことがあったような気もしますが、人に話して説明できるほどの記憶はないんですよ。

 

そのように言われても。困ってしまいます。

今、思い出そうとしているのですが、急に力が抜けてきました、もう目が開けていられなくなりそうです。

 

どうかお元気で。

 

さようなら。

 

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5月の800字小説 テーマ:眠っている間に 
 
5月の800字小説として書いたものが、恐れ多くもまきむぅの手乗り文芸部のまきむぅさん(牧村朝子さん)主催のトークイベントにて嶽本野ばら先生に添削いただくことが叶いました!

重要な(=キャッチーな)言葉をバンバンバン、と連ねて、一気に(読者の)心を掴み切っちゃう。5行読ませたら勝ちだからね。要は掴み、というかね。

ご本人に会場で私の文章を並び替えていただいたので(!)それをそのまま使わせていただきつつ、他の文章を調整してみました。たしかにこっちの方が飽きずに読まれそう!この体験があってからは、書き終えてから文頭が興味をひくかチェックする癖がつきました。