しきたんの自由なブログ

思うことや感じることを、けっこう自由に書いてるブログ。

【ネタバレ少々】ディズニーアニメ新作『ズートピア』が努力教の布教としか思えない

はろー、しきたんです。

見ましたか? ディズニーアニメ『ズートピア』

何事も解釈次第なんだけど、私にとっては恐るべきムービーでした。

Oh No....!

 

GWに見てから今日にいたりやっと書く。。もう公開終わっちゃうよ〜>< 

 

以下ネタバレ含みます。要注意。

結論はタイトルの通り。

 

まずは、なにはともあれこの曲を聴いてほしい。

(けっこう耳に残るから要注意。残りたくない人は下の歌詞を読んでね)

 

youtu.be

 

 

主題歌「トライ・エブリシング」歌詞

ダメだった うまくいかない そんなことばかりよね
それでもね 進んでいくの ちゃんと前を向いて
間違えることでやっと分かることだってあるから
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもダメだとしても向かっていけばいいよ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもそう何度だって向かっていけばいいよ

オオオオオー やるのよ
オオオオオー 何度も
オオオオオー やるのよ オオオオオー

ねぇ平気よ うまくいくわ がんばりすぎないでね
少しずつ進めばいい できることをやるだけ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもダメだとしても向かっていけばいいよ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもそう何度だって向かっていけばいいよ
失敗することでもっと強くなっていくんだから
だからいいの

オオオオオー やるのよ
オオオオオー 何度も
オオオオオー やるのよ オオオオオー
やってみるの

 

 

どんな印象を持ちましたか?

 

前向き、勇敢、ポジティブ、頑張り屋さん、優等生、馬鹿正直・・・ etc...

 

映画を見る限り、

まさにこの曲がこの作品全体の世界観を表してると言って良いでしょう。

ポジティブでいい曲だな〜 って思う人にとってはポジティブでいい映画。

マジでいってんの? って思う人にはマジでいってんの?って感じの映画。

 

です!

 

私は映画観に行く前にこのミュージックビデオを見て、

え?マジ?大丈夫かなこの子・・・

 

って思ったものの、観に行くことを決意。

 

 

 

 

 

ざっくりとしたあらすじ

 

前提として・・・

むかーしむかし、肉食動物は草食動物を襲って食べていた。

が、それは大昔の話で、今はそんな原始的な行いはとっくに卒業し共存している世界。

肉食動物だからあいつは野蛮だとか、

草食動物だからあいつはやわだとか、

そういう差別的な発言はしてはいけない事になっている。

(人数割合は肉食動物1:草食動物9。大きさはネズミから象まで様々。)

 

「世界を良くしたい」から「警察になりたい」うさぎのジュディ。

正義感の強い彼女は子ども時代弱いものいじめをしている現場で果敢に立ち向かうが

「どうせうさぎだろ、肉食動物には勝てないんだよ!」とからかわれる。

表向きは動物種による差別はしてはいけない、ということになっているものの

◯◯だから、という偏見、差別は根強いのだった。

 

ジュディは、周りから「うさぎが警察なんて絶対無理」と言われながらも

警察学校で孤軍奮闘、幾多の困難を乗り越えて主席で卒業、ズートピアへ配属。

喜び勇んで生まれ育った田舎から首都ズートピアへ上京していく。

ズートピアとは人種ならぬ動物種のメルティングポット地帯である。

 

ズートピアの警察でもまた、

彼女がとても優秀であるにもかかわらず小さいうさぎという弱小な立場から、

(弱小なはずなのに上り詰めてきた事への蹴落としかな?)

違反駐車取り締まりというつまらない仕事へ回されるものの、

その仕事で200%の成果を出したり、ひたすら前向きに頑張る。

まさに、「♪ やるのよ〜 オオオオ〜 なんども〜」である。

 

そんなある日、ジュディ難関事件に偶然遭遇。

肉食動物がなぜか野生化、凶暴化してしまう、という事件である。

街で出会ったきつねのニックを相棒にしてに果敢に立ち向かい、

体当たりで事件を解決に導いていく。

その事件の黒幕は意外なところに・・・

 

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(画像:http://www.disney.co.jp/movie/zootopia/gallery.html

 

一応ネタバレ「少々」なので、この辺にしておきます。

 

 

 

努力したら報われる、という刷り込み

 

たしかにジュディは警察として犯人を突き止め、手柄を立てた。

弱小なうさぎの立場にもかかわらず、ものすごいナイスプレーだった。

まさに、努力が身を結んだ!

運も彼女に味方して、ものすごい奇跡が起こっていく。

 

しかしこの活躍を例にとり、

「あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもダメだとしても向かっていけばいいよ」

のような歌詞を、子どもがたくさん見ているこの映画で

まともにぶつけていくのはいかがなものか。

つい、そう思ってしまうので、子ども用の映画なんだけど、

私が親だったら子どもには見せないかな・・・。

 

映画見るとわかるんですが、この刷り込みが強烈なんです。

良くも悪くも。

ちょっとうまく言えないんですが(ごめんなさい)

エンディングの音楽&映像は衝撃的です。

 

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(画像:http://www.disney.co.jp/movie/zootopia/gallery.html

 

 

世界をよくしたい=警察になりたい !?

 

ジュディが「世界を良くしたい」と言っているのが嘘っぽいんですよ。

いや、嘘だっていう確証はまったくないし、私がそう思っただけですが。

この子、本当にそう思ってる? 誰かにそう思わされてるんじゃない?

 

その思い込み(?)でむちゃくちゃな努力をしていく、

しかもその努力が(不幸にも)報われることがあり、

それが幸せであるかのように描かれるストーリーが痛々しくてならない。

ジュディ自身は別に痛々しくもなんともないことはわかってるけど、

私から見ると、そのように見えました。

(私を投影しているんだろうな)

 

この映画では、ジュディが世界をよくしたいと思っているという前提があり

どこが良くないのか?なぜ良くない状態なのか?を解明しないと

話は始まらないはずなのだけど・・・

とにかく悪いことをする人を捕まえればいいのだ、だから警察になるのだ、

という短絡的な発想になってしまってるんですね。

 

警察になろうと奮闘するジュディは愛らしく魅力的だから、

とくに違和感もたずに彼女の勇姿をつい手に汗握って見守ってしまうのだが・・・

 

でも、、、頑張るのってこの方向でいいんだっけ?

 

 

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(画像:http://www.disney.co.jp/movie/zootopia/gallery.html

 

 

 

結局、世界の構造は何も変わらない

 

この作品では肉食動物と草食動物が一見共存しているものの、

とはいえ、根本的な違いがあるからこそ、

お互いの関係性にまだまだわだかまりがあるからこそ事件が起こった、

というお話でした。

 

で、事件自体は解決するものの、

そのわだかまりは全く解決されずに終わってしまう。

 

このままだと、第二第三の◯◯(犯人の名前は伏せます)は現れるだろう、

と思わざるを得ないエンディングになっていて・・・

 

つまり(世界構造は)何も変わらないじゃん!!!

 

動物種を超えてなるべく分かり合おう。

これはずーっと言っていることだろうから、それを繰り返しても同じこと。

でも、最終的なアンサーも、

たぶんそれ(分かりあおう♪)になってしまっているというループ。

(エンディングで分かり合う的なシーンがあるのですが

犯人逮捕しただけだからね、社会は何も変わってない。)

 

結局、矛盾・不条理・市民にとって不都合ばかりなこの世界で、

その不条理、不都合は解消されずに、

とにかく、やるのよ〜♪ ということになってしまっているんですよね・・

 

 

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見えない誰かによるご都合ストーリー

 

ちょっと過激な書き方になるけど、

そんなわけで、

このストーリー展開は、

私たち善良で努力家で何も知らない一般市民を、檻の中にいることに気づかせず、

檻の中での努力の良さを歌い上げた努力教布教映画、

布教音楽(主題歌の役割は大きい)だな!という感想です。

 

映画の中で逮捕されたあの人じゃなくて、

全く別の場所に本当の黒幕、支配構造はあるとしか思えないんだけど、

その黒幕の存在は伏せられている。

そこが不気味で、ご都合ストーリーだなあ、と。

 

いろいろ妙な部分はあるんだけど、

ジュディが可愛くて、ジュディ&ニックの活躍が楽しくて、

他のキャラクター(なまけものとか)もすごい楽しくて

そう、みててすっごい面白いから、

その違和感はかなり巧妙にねじ伏せられるので要注意。

 

 

冒頭に出した片岡鶴太郎さんのコメントで、

「動物に置き換えて、人間社会を、自然界を、痛烈に描いている」

とあり、

映画鑑賞後は、全然描いてないじゃない!と憤慨したのですが(笑)

こうやって振り返ってみると、

努力を強いる、黒幕は隠された不条理だらけの世界を描いているとみると

絶妙なコメントだったかもしれません(笑)

 

 

もう少し公開していると思うので、

よかったら、そんなひねくれた視点も携えて見に行ってみるのはいかがでしょうか♪

普通に面白いよ!

 

 

 マハロ!

 

 

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